BLTLive 「冬物語」

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3月1日恵比寿ガーデンシネマ
ケネス・ブラナー演出のシェイクスピア「冬物語」1611年の作品
https://www.btlive.jp/winterstale

ジュディ・デンチは、映画「恋に落ちたシェイクスピア」でエリザベス1世として記憶していましたが、それよりも「007」シリーズのMの役の方が何度も見てよく知っていました。威厳のある女王やボスの役を演じて忘れ難い女優さんです。この「冬物語」では、シチリヤの貴族アンティゴヌスの妻ポーリーヌを演じていました。彼女はかつてロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの役者だった経歴を持つバリバリののシェイクスピア劇役者なのですね。

彼女は高齢ですが、体もよく動くし、また、よく聞こえる大変いい声でした。もちろん、他の役者さんたちも皆明確な発音で、リズムが良く、日本語字幕も一瞥してパッと理解できました。ポーリーナが妃を救おうと命がけで王の過ちを諫めようとするときの、へりくだった物言いの中にも冷静さを失わない毅然とした態度には感動しましたし、妃ハーマイオニーが彫像から生き返る場面でも、彼女の女王のような風格には、さすがと思いました。

このドラマは、前半は悲劇、後半喜劇なのですが、悲劇の最後では、嫉妬で錯乱したシチリヤ王は、神託により自分の過ちが明らかになり、うちのめされてしまいます。喜劇の部分では、不義の子として捨てられた王女パーディタは、ボヘミヤで16年の時を経て美しい娘に👸成長し、獄中で亡くなった妃は、彼女の彫像が、シチリヤのポーリーナの家の礼拝室で生身の妃として蘇るのです。悲劇から喜劇へのこの進行は、荒唐無稽にも思えるのですが、しかし、考えてみると、人間は、怒っても、時がすぎると悔やんだり反省したりするし、そんなにおかしなことではないようです。シェイクスピアが、劇の中間に神託と時を挟んだのは、演劇としての優れた進行と言えるのかもしれません。